鼻先を掠めていった鉄の棒を間一髪で避けておー危ねぇ危ねぇなんて
本当にそう思っているのかどうか疑問に思うほどの抜けた声で言うものだから
ほんの僅か隙が出た腹に思いっ切り蹴りをお見舞いして吹き飛ばしてやった。
いってぇ・・・とやっぱり軽い調子で言って地べたに転がる山本の胸に無情に足を乗せ
上から存分に顔を覗き込んでゆらりと口角を上げた。
「君さぁ、そんな事言うなら肋骨の一本や二本、くれるんだろうね?」
ピンクに染まった夕焼けの空を背負った雲雀に、思い掛けない贈り物を提案された山本は
無邪気な色を浮かべた瞳を大きく瞬かせてからう〜ん、と唸った。
胸に乗せられた足に体重が掛けられて、肺がきしりと音を立てるものだから
これは本気だと山本は苦笑した。
普通なら瞬時に拒否するだろう肋骨の贈り物、拒否しないのは山本くらいだろう。
馬鹿じゃないのと呟いて、胸倉を掴み上げて土まみれになった体を引き起こす。
「やってもいいんだけどさ、それって折るって事か?」
能天気な声にもう一度、馬鹿じゃないのかと言ってやる。
「君の体から引き摺りだして寄越せって言ってるんだよ。」
う、と声を詰まらせたから少しばかり気分がよくなる。
ああそれはちょっと困るなぁ、と腕組みをしてやっぱりさほど困っていないように言うから
雲雀はむっとした。
「じゃあ舌出しなよ。」
「じゃあって何だよ。」
「じゃあはじゃあだよ。同じ事を言わせるな。」
素直にべ、と出された舌に噛み付いた。
山本が薄い茶色の目を見開いたから、少しばかり気分がよくなる。
「君のその顔嫌いじゃないよ。」
好きでもないけど、と付け足して胸倉を押し遣ってまた地面に転がしてやった。
山本はぼうっと雲雀を見上げたけれど、みるみるうちに顔を崩していった。
ああよかった、嫌いじゃないならよかったよ。
なんて。
どこまで能天気なんだろう。
ほんのりピンクに染まった山本の頬は夕陽のせいだと思うようにして
雲雀はもう一度馬鹿じゃないのと言い捨てた。
『ハッピーバースデイ雲雀!』
そんな事言うならまるごとぜんぶ君を寄越せ!
09.05.06
遅ればせながら雲雀おめでとう!
山本は肋骨くらい何本でもあげていいと思ってます。(もちろん雲雀だから!)
でも体から出すのはなぁ、とか思い悩んでます(笑)
雲雀と山本は体張って愛し合ってると素敵だと思います(ry)
ちなみに中学生の思春期なヒバリと山本です。
大人だったらきっともっと・・・(ry)///