25骸×24綱吉×14歳綱吉 15歳骸×14歳綱吉
若干24歳綱吉×14歳綱吉の描写もあるのでご注意！
ぬるいけど18禁だよ！！
ぼよんという聞きなれた間抜けな音と一緒に煙が目の前を覆う。
次いで突然現れた物体に椅子から押し出されて、綱吉は床に尻もちを突くと、ううと思わず呻いた。
もやもやと煙が薄くなっていく。
間違いない、10年バズーカに当たったのだ。
けれど入れ替えでこちらに来る筈なのに、この部屋には綱吉しかいない。
一体誰が、とも思ったし、まさか、とも思った。
綱吉は茫然と見開いた目で煙の中で輪郭がはっきりしていく人物を見ていた。
「あれ？」
煙の中から声がした。
綱吉はゆるゆると目を開いていく。
「オレがいる」
聞こえてきた声と、露わになった人物に綱吉は愕然と目を見開いた。
その瞳に映る椅子の上に座っていたのは上品なスーツを着こなした、多分、自分。
随分と引き締まった瞳は驚きに開かれているものの、口元には楽しそうな笑みが浮かんでいた。
「ぇ…あ、ぅ…？」
混乱からかろうじて音になる程度の声を発する綱吉とは対照的に、もう一人の綱吉は床に尻もちを突いたままの綱吉に笑い掛ける余裕がある。
大人の綱吉は、ゆったりと足を組んだ。
「オレはバズーカに当たったんだ。だけど、入れ替わってないね」
「ぁ…？」
妙な声を出した綱吉に、大人の綱吉はくす、と笑うので思わずびくっとしてしまう。そんな綱吉を置いて立ち上がると、くすんだ窓の向こうに視線を投げた。
「世界も滅んでないしなぁ」
独り言の様に呟いて、座り込んだままの綱吉を見遣る。綱吉はまたびくっとした。
「同じ人間が顔を合わせたら、世界が滅ぶって聞いてるよな？」
綱吉はかろうじて頷いた。
大人の綱吉はだよなぁと呟いて、涼しげな目元で再び外を見遣る。
佇まいは凛として粛々としている。
本当にこれは自分なのだろうかと、疑ってしまう。
けれども本能の部分でこれは同じＤＮＡを持つ自分だと強く感じているのは事実だった。
「おや？」
突然頭上から降って来たのは聞きなれていて、でも聞きなれていない声だった。
反射的に見上げると、そこには綱吉の見慣れていない骸がいた。
髪が長く、綱吉の知る骸よりも背が高い。変わらない赤と青の瞳が綱吉を不思議そうに見ていた。
「む…！」
「骸」
綱吉が声を詰まらせている間に響いた落ち着いた声に、骸の視線はあっさりとそちらに奪われた。
「やっぱりお前も当たったか」
「ええ。君がこちらに来ているなら避ける必要もないかと思ったので。ところで」
目を丸くしたまま忙しなく交互に大人の二人を見ていた綱吉は、骸に腕を引っ張られて簡単に立たせられた。
「これは君ですよね？」
骸が大きな掌で綱吉の頭をぽんぽん叩く。
「そうなんだ。入れ替わらなかったみたいだな」
大人の綱吉も同じ様にして癖毛の頭をぽんぽんと叩く。
綱吉はだらしなく口を開けてされるがままだった。
「同じ人間が顔を合わせたら世界が滅亡するんじゃなかったっけ？」
「バグじゃないですかね。僕もそう聞いてますが、所詮は人間の計算ですから。機械といえど万能じゃない。なぜなら人間が造ったから。誤差があって然りです」
「お前が言うと説得力あるな」
そうでしょう、と得意気に言った骸はくすんだ窓の外に視線を向けた。
「それにしても懐かしいですね」
「ああ」
二人は並び立って窓に近付いて行った。
置き去りにされた綱吉は髪だけがぐしゃぐしゃになり、茫然と二人を目で追っている。
「この辺り一帯も、もう高層ビルが建ってるからなぁ」
「そうですね」
そう言いながら二人は黒曜ランドの廃墟から見える景色に懐かしそうに目を細めた。
普段より一層色んな方向に跳ねた髪のまま、綱吉は尚も茫然と二人を見ている。
大人の二人は立つ位置が酷く近かった。
肩を寄せ合うのを通り越して、重なる様に立っている。その距離はゼロだ。
綱吉からしたら骸とそんな風に親し気に話し体を近付けている方が、未来の自分と顔を合わせてしまった事より衝撃的だった。
「あー…ふ、たりは…仲がいいんだね…」
あまりの衝撃に答えを知りたいと思う前に思わず呟いていた。
綱吉のか細い声に大人の二人は同時に振り返り、そして顔を見合わせた。その動作さえ息が合っていて、綱吉は恐怖にも似た感情で無意識に息を飲んだ。
「そうか。この時はまだお前がツンツンしていた頃か」
「人のせいばかりにしないで下さいよ。君が鈍感だから余計に腹が立ってね」
会話を全く理解していない綱吉の目の前で、妙に艶を纏った大人の骸と大人の綱吉が、突然唇を重ねた。
綱吉は飛び出そうなほど目を見開いた。
キスをしている所なんて直に見た事がないし、更にそれが自分と骸だなんて夢でも見ているんじゃないだろうか。綱吉は無意識の内に叫んでいた。
「うわ、うわああああああああああああああああああああ！！！」
そして叫びながら後ずさり、椅子に踵をぶつけてバランスを崩し、そのまま後ろに転がる様にして倒れた。
「恋人な訳じゃないぞ」
静かな声に床に転がっていた綱吉は反射的にバッと体を起こした。
骸と大人の綱吉は左手の甲を起き上った綱吉に向け、その手を寄り添わせた。
何という事だろうか。
薬指に揃いの指輪が嵌められているではないか。
「結婚している」
「うわ、うわああああああああああああああああああああ！！！！！」
綱吉は空気砲にでも遭った様にまた後ろに転がり、テーブルの脚に頭をぶつけた。
「ク、フフ…面白い…」
「これじゃあ、からかわれても仕方ないな…」
笑いを堪え切れず吹き出し、肩を震わせて笑う骸の横で、大人の綱吉は呆れた声を零した。
「け、けっこ、けっこん…！？」
綱吉は床に転がったまま目を見開いている。
「できるの…！？」
「ああ。日本でも法改正されたんだぞ」
そうか、と納得しかけたものの、骸と自分が結婚という事実に納得出来ない。
そんな綱吉の心中を知ってか知らずか二人は歩み寄ってきて、思わずびくんと体を揺らした。二人は古びたソファに並んで腰を下ろし、骸は当たり前の様に綱吉の腰に腕を回した。
「それで、君はここで何を？ようやくデートにまで漕ぎ着けましたか？」
「デ…っち、違うよ…！オレはただこれを届けに…」
慌ててテーブルの上の茶封筒を指すと、骸はあっさりと封を切ってそれを開いた。
「わあああ！それは骸の…！」
「僕の物は僕の物です」
「う…？」
確かにと思いながらも完全納得出来ていない綱吉を置いて、骸は薄い紙をぺらりと弾く。
「色気のない業務連絡ですねぇ」
「色気…！？」
「業務連絡に色気は必要ないだろ」
骸はすぐ隣の綱吉を眉を持ち上げて見遣った。
「たまに君の裸の写真が入ってますよね」
「お前の息抜きになるかと思って。お前だって入れてくるだろ」
「何やってんの…！？」
大人二人はしれっとしたものだ。
冗談で言っているのかとも思うが、事実とも取れる。出会ってまだ数分なのに、二人の事を分かってしまった気さえする。
綱吉はまた無意識に息を飲んだ。
「僕とした事がお茶も出していない様ですが、お喋りくらいはしていたのでしょう？」
閑散としたテーブルの上を見ながら骸が言う。綱吉は我に返った様にぱちんと瞬きをした。
「え、あー…ここに来る事は伝えてあったんだけど、出掛けてるみたいでまだ顔合わせてないんだ…一応待ってみてるんだけど…」
「僕ならすぐそこにいましたよ」
「え…！？」
「そこ」
言いながら骸は舞台の横の非常口を指した。
それはそうだ。10年後の骸と入れ替わって骸がここにいるのだから、現代の骸は近くにいた事になる。
「そ、そんな近くにいたのに出て来ないなんて…」
やっぱり好かれている気がしないとしょんぼりした綱吉に、骸は平然と言う。
「大方君を…まぁ、観察していたのでしょうね」
「え、えぇ…！？」
「相変わらずストーカー気質だよな」
「嫌いじゃない癖に」
くす、と笑った大人の綱吉に骸も笑って、熱いキスが始まった。
（うわああああああああああああああああ！！！！！）
綱吉は頭を抱えて蹲った。
恋人なんて出来た試しがないからよく分からないけど、いちゃいちゃしている理由がおかしい気がする。
ストーカーがなんだって！？
視線を感じて顔を上げると、キスを終えた大人の二人がじいと綱吉を見ていた。綱吉は思わずびくんとする。
「ちょっとこっちに来て」
大人の綱吉が手招きをして骸と自分の間を指差す。綱吉は再びびくんとなった。
「な、なんで…！？」
いいから、と綱吉は手招きをする。
表情も仕草も柔らかいのに有無を言わせぬものがある。
綱吉は逆らってはいけないと本能で思い、足を引き摺る様に立ち上がり、未来の自分と、未来の結婚相手との間に腰を下ろした。
得も言われぬ威圧感に若干吐きそうになり、すでに涙目だ。
そんな涙目の綱吉の頭に、大人の綱吉は柔らかく手を乗せた。綱吉ははっと顔を上げる。
「恋人になるならちゃんと自分を愛してくれる人にするんだぞ。骸はオレをちゃんと見て、愛してくれる。だからオレは、男としての自信を持てたんだぞ」
綱吉が瞳を揺らす前に、頭上の大人の綱吉の手に骸の手が重なる。重さで首がちょっとぽきっと鳴った。
「そんな風に思ってくれていたんですね」
「そうだ。ずっとそう思ってた」
綱吉の頭上でキスが始まる。
これは酷い。
未来の自分の事ながらとても冷静にそう思う。
こんな調子ならきっと、普段から二人はこんななのだろう。
ぐらぐらと眩暈を覚えた時に、突然ひょいと足を掬い上げられた。
「へ…！？」
間抜けな声を出した時にはもう大人の綱吉に足を向けて、骸に寄り掛かる様にしてソファの上に体を乗り上げていた。
正面に見える大人の綱吉の表情は、とても真面目なものだった。
「初めての時は大変だったんだ」
「…？」
「骸は器用だから任せていれば問題はないけど、オレはその時心の準備もまだ出来てなかったから余計手間を掛けさせちゃったっていうか…こういうのはお互い努力が必要だと思うんだ」
「……？？」
「良い思い出ですよ」
何の事か分からずに丸くした目で瞬きをするしか出来ない綱吉の代わりに、骸が少し笑いながら言った。
状況を把握出来ていない綱吉の目の前で短いキスが交わされる。
「少し慣らしておこうと思うんだけど」
「それはそれで有難いですけどね」
鼻先が触れそうな声で何か相談している。
意味は分からないものの、嫌な予感はした。
「あの…オレ、お邪魔みたいだから」
そう言って体を起こそうとしたのだが、骸に後ろからがっちりと抱えられてすでに動けなかった。
嫌な予感しかしない。
無駄と分かっていても体を捩ってみる。抜けられない所か、腰を浮かせた瞬間に素早い手付きで大人の綱吉にハーフパンツを下げられてしまった。
「な、え、ちょお…！！！」
抵抗しようと体を浮かせた時にまんまと下着まで下ろされてしまった。
空気に晒された素肌の感覚に、綱吉は思わず身震いをする。
「おやおや、可愛いですねぇ」
「こんなもんだろ」
ハッと目を開けると二人の視線が足の間に注がれていて、綱吉はばあと頬を赤くした。
「や、やめろおおおおお！！！」
じたばたと足を動かそうとしたものの、しっかりと綱吉に抱え込まれていて少しも動かせなかった。力が相当強い。
当たり前か、と妙に納得もしたけど、それどころではない。
何だこの状況。
「自分で触った事もほとんどなかったからな。修行で疲れてたし、そうする事に罪悪感もあったなぁ」
な、と大人の綱吉は笑う。
一方、心情をズパリ言い当てられた綱吉は目を見開いた。その視界の中でもう一人の自分が優しく笑う。
未来の自分なのだから、口に出した事がない今の綱吉の心情を理解しているのは当然なのだけれど。
「気苦労が多いですね」
溜息混じりの声と一緒に骸の掌がＴシャツの中にするりと入ってきた。
素肌を滑った掌に驚きから思わずびくんと体を引き攣らせた。
「敏感な事で」
「骸だからだよ」
綱吉の上でまた短くキスをした大人の綱吉はおもむろに綱吉の下腹部を弄り、柔らかいままのそれを指先で握った。
「ちょ…！な、なに…！！！なにして…！！！んっ」
指先が上下に動き、鼻に掛かった声を思わず零してしまった綱吉は頬を真っ赤にして慌てて口を塞いだ。
「かわいい」
「…っ！」
骸が思わずといった具合に耳元で囁くと吐息が頬を掠め、綱吉はぴくんと睫毛を揺らしきつく目を閉じた。頬は赤いままだ。
「オレは本当に骸の声が好きだよな」
「声「も」でしょう？」
きつく閉じた瞼の向こうで、またキスをする気配がある。
この人達って何でこうなんだろうと思いながらも、指先を上下に動かされてしまえば、綱吉の思考は滲んで薄く広がっていく様だった。
「や、やめて…」
説得力がないほどか細い声で言う。
くす、と笑ったのはもう一人の自分なのか骸なのか、綱吉には分からなかった。
長くて筋張った指に挟まれて、綱吉のそれの先端は赤く色付き、割れ目から透明な液体が溢れて薄い腹の上にゆっくりと垂れた。
綱吉はぎゅうと奥歯を噛み締めて、無意識に腰を緩く反った。
濡れた先端を指の腹がぬるりと滑った。
綱吉は堪らず腰を震わせる。
足の爪先に力が入ってぎゅうと丸まった。
動きを止めて離れた指先に、思わず緩く視界を開く。
滲む視界の中で、骸の口から大人の綱吉の人差し指をがゆっくりと引き抜かれているのを見た。
その指はぬらりと光りを弾く。
「ほら、ここで骸を受け入れるんだよ」
「うわぁ！」
色気のない声、と骸がくすくす笑う。
濡れた人差し指が綱吉の後穴をなぞる。
「ま、まって…！そんな所に何も入らな…！」
「入るよ」
柔らかい肉に指先が沈む。
「う、あ」
「力を抜いて」
耳元で骸が言うので、綱吉は目元を滲ませた。
「駄目だよ、そんな言い方したら。余計力が入っちゃった」
大人の綱吉はくすと笑いながらも、力の入ってしまった後穴から指を引き抜かなかった。
ゆったりと縁をたどるように、円を描く様に指先を動かす。
「分かるだろ？柔らかくなっていくの」
「う、うう…」
綱吉は羞恥から睫毛を濡らす。
「そろそろ時間ですね」
骸が少し残念そうに言う。
「早いな」
ちゅ、と大人の綱吉が真っ赤な綱吉の頬に短いキスを落とし、骸も綱吉の髪に短いキスを贈った。
骸は綱吉のＴシャツを胸まで捲り上げ手を這わせると、きつく抱き締めた。
「僕がこうしていて、現代の僕が帰って来たらどうなりますか？」
クイズの様に耳元で骸が言った。
答えが出ない内にぼよんと間抜けな音と一緒に背後で煙が立ち上る。
そうだ。
骸と骸が入れ替わるのだから、10年後の骸が綱吉を抱き締めたままで現代の骸と入れ替わると。
露わになった胸に添えられた骸の手は一回り小さくなっていた。
しっかりとした胸板は、それでもさっきまで自分を抱えていた骸よりも薄い。
綱吉は真っ赤になっていた頬を一気に青褪めさせた。
しん、と張り詰めた空気が過る。
「これは」
耳元の骸の声に思わず「うわぁ」と言って慌てて口を押さえた。
骸はそれを気にせず「僕が、」と一人言の様に言う。
きっと「これは未来の僕がやったのか」と言いたかったのだろう。
何て事だ。
ほとんど服を着ていない綱吉は、事もあろうに体の中心を勃たせている。
恥ずかしい所の騒ぎではない。
「う…あ…」
言葉にならない声を漏らすと、骸の腕がゆるゆると体から離れていった。
汗ばむほどの熱から解放された背中は冷え冷えとして、綱吉は思わず体を震わせてから、同じ様にゆるゆると体を起していった。Ｔシャツがすとんと腹の上まで落ちる。
骸は俯いている。綱吉は冷や汗を掻いた。
「あ…えっと…骸だけじゃなくて、10年後のオレもいたんだ…」
骸の気配がぴくんとした。
これはこのまま事実を話せば何とかなるかもしれない、と綱吉は一縷の望みを掛けた。
「オレもよく分からないんだけど…そのハグ？が起きて同時に存在出来たらしくて」
「バグ？」
「あ！そうそう！」
再びしんとした空気が落ちて、綱吉は逃げ出したい気持ちになった。
「あ…！そうそう！何かオレと骸、結婚したらしいよ！」
場を和ませようとしたら逆効果で、顔を上げようともしない骸の背中からドス黒いオーラが滲み出るのが目に見える様で綱吉は戦いた。
適当に何か言って逃げだせばいいのかもしれないが、どういう訳か綱吉は気持ちがしゅんとしてしまう。同じ様に俯いた。
「…ヤダよね…オレと…結婚とか…」
「君は嫌ですか？」
「え…！？」
思いも寄らなかった返答に綱吉は思わず横を向くが、やっぱり骸は俯いたままだった。
綱吉はゆるゆると視線を元に戻した。
「嫌…」
そして静かに俯く。
「…じゃなかったんだ…どうしよう…うわぁ！」
もう一人の自分が言っていた「心の準備が出来てなかった初めての日」って、もしかしたら今日なのかなと、抱き締められた骸の腕の中でハーフパンツがぱさりと床に落ちた間抜けな音を聞きながら、そんな事を思った。
2012.04.23
うん。