朝まで起きてると言い張った小さな唇は今、柔らかな寝息を立てている。

ベットヘッドに凭れた骸の胸に預けた頭に、柔らかく手を添える。

波の音は飽きもせずに似たような速度で打ち寄せて、
空の星は白さを増し、遥かに広がるその空さえも白に近付いていく。

柔らかな髪に指を通すと、睫毛が小さく震えた。





例えば―・・・


例えば朝は窓から差し込む柔らかい朝の光で目を覚まし、
鳥のさえずりにまどろびを感じて、


そして隣には、





震えた睫毛の縁からつう、と涙が一粒落ちて、
まだ幼さの残る頬を伝った。

骸は幾度か瞬きをしてから、その涙を唇で受け止めた。

じわりと舌の上に広がった涙の味は、とても甘かった。


「ボンゴレ、」

耳元で呼び掛けて、寝息を奪うキスを唇に。

「じき夜が明けます。」

ゆったりと覚醒していく瞳は、優しい光を宿した。





そして隣には、愛おしいあなたが。




優しいキスで目覚めさせてくれる、あなたが。





「・・・いい夢、見たんだ。」

「夢、ですか?」

綱吉は小さく頷いて、濡れて輝く瞳で骸を見上げた。
そして零れてしまいそうな笑顔を湛えた。


「朝目が覚めたら、骸がいる夢。」


目を見張った骸に頬擦りをして
まだ少しだけ眠気を残す指先がキスをねだる。


「夢じゃなかった、」


指先がねだるままにキスをして、幸せを囁く声ごとすべて、
ポケットに入れて持って帰れたらいいのに。


「骸、一緒に朝ご飯食べよう。」


水平線を白く染め上げる一本の光は
淡いピンクと薄紫を滲ませて、
やがて海との境界線を確立する。


「そしたら一緒にお風呂に入ろう。」

「あなたが恥ずかしくないならね。」

う、と声を詰まらせて頬を赤く滲ませた綱吉だったが、小さく首を振った。

「でも絶対一緒に入るって決めて来たから。」

忙しなく時計を見遣ってあ、昼も一緒に食べられる、と付け足した。

「起き抜けから食べる話しばかりですね。」

「だって骸と朝も昼も一緒にご飯食べた事ないし、

それと、これが一番大事な事なんだけど」

「はい?」


骸に預けていた体を起こして居住まいを正すと、
照れた仕草で頬を染めて、ゆったりと正面から骸を見上げた。


「骸、」


息が止まるほどの笑顔で


「おはよう、骸。」


骸は目を見張ったけれど、


「・・・・おはようございます。」


と、珍しく少しだけ照れたように笑った。





おはようのキスをして、

手を握り合って朝食を。

遅めの朝にはブランチを。


例えばそんな平凡な非日常を、

あなたも同じに欲しいと思っていてくれるなら

閉じられた籠をそっと抜け出して

この足のまま

あなたの場所まで歩いていけるから。









09.05.09
キリ番リクエスト
「籠の鳥」の設定で休暇という名目でボンゴレを抜け出した綱吉が
骸と短いけど幸せな休日を過ごす、で書かせて頂きました><
リクエストをくださったらびさまのみ、宜しければお持ち帰りください!!
素敵なリクエスト本当にありがとうございました!
頂いたリクエストでまたもやはぁはぁしてしまいました(ry)
密会好きです・・・(ry)///
それでも幸せな二人、が書けていたら幸いです><
このあと綱吉はにっこにこで本部に帰って物凄く冷やかされまくると思います(笑)