綱吉は床に体を横たえる格好でずるずると引き寄せられた。
指に力を込めて抵抗してみるが所詮指先だけの力なので、結局は絨毯の上に体を滑らせる。

言葉は届かないかもしれないけど、綱吉はうつ伏せだった体をくるんと反転させて自分の足を引っ張っている骸をきっと見詰めた。

「骸、ちょっと待とう」

そう言っている間も体がずるずると引き摺られて、辿り着いたのは骸の体の下だった。
骸は瞼を半分落とした虚ろな瞳で綱吉を見ているだけで、特に何も言わない。
そしておもむろに手をスーツの中に入れた。
綱吉が骸とは違う意味でびくんとしたけど、骸には通じていないようで更に手を奥に入れた。
儚い抵抗と分かっていても骸の腕をぎゅうと押し遣る。

「骸」

名前を呼んでみるが虚ろな目には届かない。
その間も掌はずるずると綱吉の体を撫ぜる。綱吉は思わずぶるっと体を震わせた。

「そうだ!夜まで待ってくれたら、ほら、この間骸が持って来た黒曜の制服着てもいいぞ!…女の子のだけど…着る、から…」

目は半分閉じたままだけどぴたっと動きを止めた骸に、綱吉はもう一度「な?」と念を押すが、結局手は綱吉のスーツを脱がしに掛かった。

「ちょっと待てちょっと待て!ここどこだと」

不意に扉が開いた。
そういえばさっきからずっとノックされていた気がしないでもない。
扉の向こうにいたのはランボで、確かにランボと目が合った筈なのに、扉は何事もなかった様に閉められた。

反射的にばっと視線を下げるとジャケットもシャツも捲れ上がり、胸の下まで肌が露わになっている。

そこに骸が手を滑らせて圧し掛かっていればそれはもう正に最中だろう。

綱吉は白目を剥きそうになった。

昼間でも自室だったらそりゃあ構わない。けれどもここはボンゴレの本部であって。人がたくさんいる訳で。

「今絶対見られた…!絶対見られた…!」

半ば取り乱し叫ぶ綱吉の声も耳に入っていない骸はおもむろに綱吉に寄り掛かり抱き付いた。

綱吉はその重みで潰されるように絨毯に体を横たえる。

骸は「はああああ〜…」と大きな溜息を吐いた。
溜息と言うよりは仕事から帰宅したオヤジが風呂に入って脱力したような声だ。
骸はだらりと綱吉に抱き付く。

骸はたまにこんな状態になる。
特殊な能力があるせいで、色々な情報を一気に取得し処理し、そんな事を繰り返していると、骸とて疲れるらしい。
そうして骸は綱吉と密着して活力を手に入れようとするのだ。
今は普段の骸の面影もないのだが、きりっとしている時に「君とセックスすると正気に戻るんですよね」なんて言われたら、それは恋人冥利に尽きる訳だが、やっぱり時と場合は考えて欲しい。

でも今の骸に言葉が通じないのは綱吉が一番よく分かっている。

「…」

だらりと綱吉に抱き付いている骸の頭頂部をじっと見る。
このまま本当に密着しているだけならいいのだけれど、そうはいかないのが骸。ごそごそとスーツの中に手が入ってくる。

「分かった!仕事終わるまでそこのソファで寝てていいから!」

まったく届かないようで外されていくベルトを押えるが、大して意味もない。掌がするりと太股を撫でて思わずふるっとする。

「分かった!じゃあせめて鍵、鍵を」

骸の腕を抜けて鍵を掛けようとするも、ずるずると引き戻されてあっさり元の位置に戻った。

そしてぱくりとキスをされる。

舌を絡められた時点で綱吉は覚悟を決めた。

骸に早く元に戻って貰おう。


2011.10.5
多分恋人になったのもこんな感じでいきなり襲われて気付いたらなってたみたいな感じだと思いますw