綱吉は観念したのか上掛けに顔を埋めたままだった。
縛り上げても楽しそうだが、大人しくしているのならその必要もない。

綱吉と普通にセックスをしてみたかった。

それにしても本当にこんなところに入るのだろうか。
ここでするセックスもあるくらいだから入るのだろうけど。

骸は長い指を試しに後孔に差し入れた。
濡れそぼったそこは思いの外すんなり入ったが、とてもきつい。
それに綱吉も苦しそうに息を詰めたのが分かった。

「苦しいですか?」

綱吉は消え入りそうな声で「だいじょうぶです・・・」と言った。

「・・・。」

大丈夫ではないだろう。

「痛くはないですか?」

ゆるゆると顔を上げて肩越しに見上げてきた瞳は濡れていて、骸の鼓動は緩やかに高鳴った。

「・・・痛くない、です・・・その、大丈夫なので・・・あの、」

語尾はほとんど聞こえなくて、また顔を突っ伏してしまったけれど骸は目を見張った。

髪から覗く耳が真っ赤だ。

どういう事なのだろう。
拒絶はされていないという事だろうか。

考えあぐねて緩やかに動かしていた指を僅かに曲げた時、
綱吉の体が面白いくらい跳ね上がってベットのスプリングをギシ、ギシ、と鳴らした。

「痛かったですか?」

返事がない。
髪がふるふると揺れている。

体を屈めると、綱吉がびくんと動いた。

「痛かったですか?」

繰り返し訊くと、綱吉は顔を埋めたままふるふると首を振った。
僅かに覗いた頬も真っ赤だった。

痛いのではなかったらどういう反応だろうかと思って、すぐに思い至る。

「・・・もしかして、気持ちよかったとか?」

綱吉がびくんと体を動かした。

こういう時は分かりやすくていい。

気持ちいいなら攻めるまでだ。

どうせなら悦がってくれた方がいい。

長い指を器用にしならせて、柔らかな肉を押し分けるように愛撫すると、
綱吉はうわぁ!と悲鳴染みた声を上げて体を跳ね上げた。

逃げようとするので空いている手で腰を掴んで四つん這いの姿勢を保たせる。

開いた細い下肢ががくがくと震えているが
骸は執拗な愛撫を繰り返した。

「うわ、あ・・・っ!!」

反らされる背中は猫のようにしなやかで、曲線を描く様は見ていて煽られる。

吹き出した汗が白い肌に流れていく様もいい。

色気のない悲鳴染みた声でさえぞくぞくするのだから、自分で相当だと思った。


早く入れたい。


気付けばさっきまであんなに狭いと思っていた後孔が、ぐずぐずになっている気がして
試しに指をもう一本入れてみると、綱吉は気付いていないようで
変わらずに胸で浅い呼吸を繰り返しているだけだった。

ふと視線を下げると薄い腹の下で綱吉のそれが腹に付きそうなほど勃ち上がって震えていた。

もう限界だ。

「・・・?うわああ、・・・っ!!!」

不意に出て行った指を不思議に思って微かに顔を上げた綱吉だったが
すぐさまベットにしがみ付いた。

細い腰を掴んでぎつぎつと締め付けてくる肉を割って、一気に奥まで貫いた。

「・・・っ凄い、ですね、」

綱吉の中は思った以上に熱くて柔らかくて狭くて、骸は堪らずは、と短く息を吐く。

入れているだけで背骨が溶けそうになる。

骸は強い快楽を誤魔化すように眉根を寄せて中を抉るように腰を打ち付ける。

ひあ、と高い声が綱吉の口から漏れた。

煽られて真っ白になった思考で腰を強く打ち付け続けた。

開けっ放しになっている綱吉の小さな口から、中を抉るたびに乱れた声が零れ続ける。

どうしようもない気持ちになって、
顔が見たくて体を繋げたまま薄い体を返した。

泣きそうに寄せられた眉根も赤い目元も
汗が光る額も胸元も唾液で濡れた唇もそのすべてが骸を追い立てる。

腹の上で震える綱吉のそれは緩くきゅと握っただけで白濁の液体を散らした。
骸は堪らず吐息を漏らす。

「脱がせて、」

肌と肌を触れ合わせたくてふるふると震える綱吉の手を取って、ベストの釦に指を掛けさせる。

綱吉はとろりとした目で、手で、指で、一生懸命釦を外していく。

骸は乱暴にネクタイを外して放る。

最後の釦を外す前に、ゆるゆると腰を動かした。
綱吉はあ!と短い声を上げて手を引っ込めてしまう。

「ほら、まだ残ってますよ、」

体を倒して促すが、腰を動かせば綱吉の指先は震えて上手く使えない。

「う、ごかな、で・・・!」

強く中を抉るとがくんと背中を仰け反らせた。

腰を揺らすたびに白い腹の上で精液が揺れて零れる。
いやらしい。堪らない。

最後の釦は自分で外してシャツも一緒に脱ぎ捨てると、肌を強く合わせた。

熱くてそれだけで気持ちいい。

動くたびに胸と胸の間で精液がぬるぬると滑る。

「なぜ、動いては駄目なの、」

「だ、て・・・あ!!」

「気持ちいい、から?」

「ん、ふ・・・っ」

唇さえ震わせて綱吉は、骸の背中に縋り付いて長い髪を掴んだ。

ぐらぐらする。

もう吐精しているのではないかと錯覚するほど、いい。

セックスがこれほどまでに快楽を得られるものとは思わなかった。


ぐ、と一層奥に押し入れて、骸は吐精した。


吐き出しているのを分からせるために、一切動きを止めて細い腰を強く抱き締めた。

脈を打って精液を吐き出すたびに薄い腹が呼応するようにひくひくしている。

ぞくぞくする。

は、は、と短い呼吸を繰り返す小さな唇に、骸はそっと唇を寄せた。


甘く柔らかく合わせると、とても柔らかかった。


ちゅ、と濡れた下唇を吸って、上の唇も同じように吸うと、薄く開いた唇から舌を忍び込ませた。

舌を舐めるようにすると、綱吉はふと息を短く吐いて、骸にしがみ付いてくるから
骸も腰に回した腕に力を込めてきつく抱き締めてキスを深めた。

しばらく唇を貪って、ああキスまでしてしまったと、どこかで諦めたように思って唇を離すと、
綱吉が薄く瞼を持ち上げる。
その瞳は水分を含んで濡れていた。

「決めました。」

熱を孕む瞳を小さく瞬かせた綱吉に、はっきりと言い切る。

「君を飼う事にしました。」

きょとりと小さく瞬いた瞳はみるみる見開かれていき、
ついには零れ落ちそうなほど大きくなると、かあ、頬を赤くした。

「な・・・!!!」

「僕のところに来なさい。生活の面倒は僕が見ますし、借金も返済しなくていいです。」

「え・・・!?」

目を剥いた綱吉だったが、すぐにその眉尻がしゅんと下がって、骸は不機嫌に口元を引き結んだ。

「不満でも?」

「いえ・・・!不満じゃなくて・・・俺の借金の額、凄いのに、そんなによくして貰うなんて、出来ないです・・・」

骸があからさまに溜息を吐くと、綱吉はびくっと体を引き攣らせる。
骸はそんな綱吉を抱き起こして座らせた。

「そんな遠慮は要りませんよ。恋人になるのだから。」

「なぁ・・・!?!?こ、こいび・・・!?!?」

「そういう意味で言ったのですが。」

「まったく気付きませんでした・・・っ!!!」

「告白などした事がなかったので要領が分からなかったのですが、まぁ君も鈍そうですよね。」

さらっと言って退けたのだが、綱吉が頬を赤くして口の中で「告白・・・」と呟いて恥ずかしそうにするから
骸も何だか恥ずかしくなった。

どうしてくれるんだ、本当に。

「返事は?」

「え・・・!?」

「返事、ですよ。」

じり、と殺気立った目元に、綱吉は「はいいい・・・!!!」とこの上なくいい返事をして顔色を悪くした。

「よろしい。」

骸は満足そうに頷くと、青くなった綱吉の頬を包み込むようにそっと手を添えた。


途端に頬はふんわりと赤い色を乗せ、
恥ずかしそうに伏せた目元まで染め上げる。


骸はそっと綱吉を抱き寄せた。


まったく、これだから油断出来ない。

こんな表情をされたら誰でも勘違いするだろう。
綱吉にそんな気がなくとも、勘違いであっても、
勝手に綱吉に好意を抱かれていると思う人間が出て来るのは業腹だ。

「バイトも辞めてくださいね。」

「え・・・!?でもそしたら本当に収入が・・・!」

「返事!!」

「はいいいい・・・!!」

骸は満足そうに頷いた。

今までよく無事だったと思う。

社会的な意味でも、色恋に関しても。


おずおずと背中に回された腕に骸は目を見張ってから、
抱き締める腕の力を強めた。


この子を愛してやるのも守ってやるのも自分だけでいい。


元の借主が綱吉を騙さなければ出会えなかったから、
その辺りは少しだけ考慮して、利息は今の10倍で許してやる。

けれど綱吉を騙した罪は重い。

草の根を分けてでも探し出して這い蹲らせてやろうと決めて、骸は体を離した。

「引越しましょう。」

「今から・・・!?」

「当然です。纏めるほどの荷物もないでしょう?」

「う、」

図星だったらしく、うぐうぐと言葉に綱吉に少し笑う。

シャツを取ってベットを降り掛けた骸は、ああ、と言って振り返った。

「僕たちの家に帰ったら、またすぐしましょうね。」

かあ、と頬を赤くした綱吉に満足そうに笑って、
暗くなり始めた部屋の中で小さなキスを贈る。



09.10.21
骸は綱吉をずっと傍に置いて綱吉は編み物でもしてたらいいと思いますw
そんな綱吉に骸が構ってーとちょっかい出したり、
隙を見て社長室で綱吉の膝枕でごろごろしたり
あーんして貰ったり甘えまくってたらいいと思いますv
綱吉は骸の事を怖いけど優しくてカッコイイと思ってて、
でも見た目とは反対に甘えん坊なところが可愛いと思ってればいいと思いますv
ら、らぶらぶ・・・っ(吐血)
おまけ書けたら書きたいです。
裏の仕事をしている事を綱吉に話すかどうか悩む骸編(笑)