リボーンはとことこと枕元まで歩いて行った。
シーツの上に綺麗に足跡が付く。
どうでもいいけど土足は止めて欲しい。
文句を言ってやりたい気持ちをぐっと抑えた。

骸の欲しい物の心当たりを聞くまで我慢だ。聞いた後も怖いから文句を言えるか分からないけど。

更にリボーンが土足のまま枕に上った。
勘弁してくれ。

涙目の綱吉を気にもかけずにリボーンはぴしりと着たスーツの自分を指し示した。

「俺がお前の役な。」

「うんうん!」

どうやら実演してくれるらしい。珍しいこともあるものだ。
綱吉はベットの上に正座をして前のめりになった。
リボーンはもう一度、今度は自分の体を指し示した。


「全裸だとする。」

「いきなりおかしくね・・・!?」

「黙れや!」

「うぐふ、」

綱吉の横面を引っ叩いて吹っ飛ばしておいて
リボーンはふかふかのほっぺに青筋を立てながらまた枕の上に戻った。

「全裸だとする。」

「うう、」

綱吉は絶対おかしいと思って涙目になりながらも、もしかしたら万が一だけどひょっとしたら
妙案が出て来るのではないかと期待もして枕の上のリボーンを見守った。

「その上にコートを羽織る。丈はまぁショートでもいいが、長ければ長いほどサプライズも大きくなる。」

本当にサプライズだ。
丈が短くてもそれはそれで大変なサプライズだ。
リボーンは前を合わせるように前屈みになった。

「そんで電柱の影に潜んで骸が来たら一気に目の前に出て行く、」

ばっと機敏な動作で横に体を滑らせ、機敏に前を開く動作をした。

「がっと前を開いて『俺をあ・げ・る★』って言やあ完璧だ!」

「ただの変質者だよね・・・!?」

「しゃらくせぇ!!」

「ぶっ」

呼吸をするように頬を引っ叩かれる。

「露出から始まるもんもあるんだよ!」

「むしろ全部終わるよ・・・!!」

「黙れハゲ!」

「ハゲてな・・・っ」

ハゲという濡れ衣を着せられて殴られベットに突っ伏した綱吉の頬は、土足で踏まれた上にぐりぐりされた。

「ガキが露出について語るんじゃねえよ。俺はそんなことされたらドン引きだがな!」

「引いてんじゃん・・・!!」

「したこともねぇガキが、ざっけんな!!」

「し、したことくらいあるし、」

「はあ?てめぇ嘘ばっか言ってると首と胴体切り離すぞ。」

本当にやり兼ねないから、綱吉は顔を青くしながら首を押さえて後ずさった。
キラキラおめめが凶悪に殺意を乗せて光るので、綱吉はひへへと妙な笑い声を上げるのが精一杯だった。
そして観念したように呟く。

「って、言っても父さんと母さんとだけど・・・」

「ああああぁぁぁぁぁああああぁぁぁああああ!?!?!?」

「な、ちょ、そんな驚くことかな・・・みんなそんなもんじゃないの・・・?」

「洗脳済みとは恐れ入ったぜ。あいつら虫も殺さねえ顔してやることやってんな。」

「せんのう・・・?」

「鬼畜は好きだぜ。」

「び、備蓄・・・?」

「ビーチクじゃねぇよ。頭ん中そればっかか。」

「や、別に・・・そういう訳でも、」

「だよなあ!男はもっと大事な場所があるからな。」

「へ・・・?うん・・・まあ、あるような、ないような・・・?」

「したことあんなら骸とするくれぇ訳ねぇだろ。」

「な・・・っ家族とするのとは訳が違うよ・・・!」

「家族とする方が訳が違ぇよ。」

「えぇ・・・!?そ、そんなキキキキキ、キスとかまだ早いよ・・・!!」

ぱしゃあと水風船が割れるような音がどこからともなく聞こえて、
綱吉はびくっとした辺りをキョロキョロとしたがそれらしきものはない。

「てめぇら・・・まさか付き合ってねぇとは、言わねぇよなあ?」

帽子の影でリボーンの目は見えない。

「つ、付き合うとかそんなんじゃないよ、骸と俺はそ、そんな、そんな」

真っ赤になって全力で首を振ったとき、再びぱしゃあと音がした。

「な、何なのこの音・・・!?」

「俺さまの、」

はっとリボーンを見ると帽子の影から殺意を滲ませた目元が露わになって
その愛らしいベビーピンクの唇がわなわなと引き攣った。

「俺さまの血管が切れる音だよ!!」

「うそぉ!!ぐふっ」

いつも以上にぼっこんぼっこんにされながら、綱吉は意識が薄れる中で、
リボーンが「俺に任せとけや。」と凶悪に笑んだのを見た気がした。

2010.06.06