性描写アリ


灼け付くような日差しの陰で、耳鳴りのような蝉の声にもくらくらと眩暈がする。

通り抜けた温い風に、一層蝉の声が近くなる。

言葉もなく柔らかく始まったキスはそれでも性の匂いを濃く孕み、先に続く行為を拒否する間もないほどだった。
絡めた舌を甘く噛まれる頃には、体の奥の熱に焼き切られそうになっていた。

骸の腿が、もうずっと綱吉の足の間に押し付けられていて、
ゆるゆると擦るような動作を繰り返されると
立っているのも危うくなってくる。

ようやく離れた唇は、酸素を乞うように短く息を吸って、けれど吸った傍からすぐに吐いてしまった。
綱吉は自分の頬が真っ赤になっているのを自覚して、けれども成す術もなく短い呼吸を繰り返す。

いくらか温度の低い木に背中を押し付けられて、捲くられたTシャツの中の汗ばんだ肌に骸の手が滑っていく。

ちゅう、と吸われた首はきっと痕が残る。でも皮膚を口に含まれる感覚は、抗い難いものがある。
ちゅう、とまた別の箇所を吸われた。

「む、くろ・・・そんなに吸ったら・・・みんなに骸と会ってたって、バレちゃう、よ・・・」

「虫に刺されたとでも言っておいたらいい。」

口先だけの抵抗は簡単に見透かされて、またちゅう、と肌を吸われた。
耐え切れず頬に落とした睫毛がふる、と震えた。

「そ、んなに動かした、ら、ん」

「動かしたら?」

濡れた唇が耳元で優しく揶揄する。

するりとボタンを外した指先が、おもむろに下腹部を擦る。
だめ、と辛うじて言うものの、相手にもされずに指先は綱吉を攻め立てて、
腿に押し付けられた骸の下腹部が確かに硬く熱を帯び、綱吉がはと顔を上げると、骸が柔らかく微笑んだ。

ぎゅうと更に押し付けられて、指先で攻め立てられれば、熱を溜め込み過ぎたそれは簡単に弾けてしまった。

あ、あ、と泣きそうな声を漏らして、骸の手の中で熱を吐き出し続けると
下着も濡らした精液が、ショートパンツの裾からゆるゆると腿を伝って落ちていく。

「ああ・・・これでは着替えなくてはなりませんね。」

「・・・いじわる、」

「今に始まったことではないでしょう?」

どこか嬉しそうに笑った骸は綱吉の前に膝を付くと、淡く色付いた腿を滑る精液をちらと舐めた。

骸は腿に吸い付いて赤い痕を散らしていく。
綱吉は水に濡れた瞳を泣きそうに細めて、抗えない唇に短く息を吐き出し続ける。

最後にく、と歯を立てるとそこには食べられたような歯形が綺麗に付いた。

「君がね、こんな挑発的な格好をするのが悪いんですよ。」

「・・・俺の足なんか誰も見ないよ・・・」

「能天気なことで。」

言って下着と一緒にすとんとショートパンツを下ろすと、綱吉もすとんと勢いよくしゃがんだ。
綱吉が骸を見上げるいつもと同じ目線になって、骸はぱちりと瞬きをした。
その視線の先で綱吉は、頬を真っ赤にしてぶす、と少し不機嫌な顔をする。

「は、恥ずかしいよ・・・こんなに明るいのに、あんまり見るなよ・・・」

骸は更にぱち、と瞬きをしてから小さく吹き出した。

「何を今更。」

「今更も何もないの!」

「僕はいつも君の体を隅々まで見てますよ。」

「なぁ・・・!」

愕然と目を見開いて真っ赤になった綱吉は、とうとう膝の上に顔を埋めてしまった。
髪の隙間から覗く耳の縁も赤い。

骸はくす、と笑うと、木に寄り掛かって腰を落とした。

「それならほら、ここに座りなさい。」

顔を真っ赤にしたままちら、と声の方を向くと、骸はぽんぽんと膝を叩いた。
綱吉は膝を抱くようにして、向き合って骸の膝の上に座ると、首に腕を回してぎゅうと抱き付いた。

「こうしたら僕からあまり見えないからいいでしょう?」

「・・・うん、」

「・・・僕のことも慰めてください。」

耳元でくすぐるように囁くと、綱吉はきゅうと息を詰めて頬を赤くした。
けれども、確かに小さく頷く。

服が汚れることも気にしなくなった二人は、体を擦るように抱き締め合ってキスをして、
ゆったりと指を差し込んだ綱吉の後孔は次第に熱を上げていく。

じわりと滲んだ汗が頬を伝って落ちた。

綱吉は自分から腰を浮かせて骸を受け入れた。

骸の形を確かめるようにじわじわと割り開かれて、綱吉は体を突き上げられるような感覚に堪らず声を漏らす。
奥まで飲み込んで短く息を吐き出す中で、自分と同じように淡く目元を染める骸に、嬉しさが込み上げる。
涙さえ滲む。

綱吉が緩く腰を動かすと、骸が小さく息を詰めた。

もうここがどこでも良かった。

咽ぶような緑の香りも、蝉の鳴く声も、少し傾き始めた陽の光もきっと、ぜんぶ、二人のためだけに。

拙い仕草で腰を揺らすたびに、骸が息を詰めて綱吉にしがみ付くようにするから、ぐらぐらと眩暈が加速する。

痺れるような時間の中で感覚が反転して、ふと熱に濡れた瞳を開けると、
目の前に骸がいてその後ろに真っ青な空が見えた。

押し倒された綱吉は、骸に足を抱えるように持ち上げられた。

「あ・・・!」

思わず漏れた声はどこまでも甘いから恥ずかしくて、それでも綱吉は骸の背中に腕を回した。

骸がたくさん体を出入りするから、綱吉は声も出せずに体を反らせた。
緑の草が風に緩く舞った。

綱吉、といつも柔らかく甘く名前を呼んでくれる。

視界に映る世界は、水の中のようにゆらゆらと揺れて眩しい。

体の奥で受け止めた骸の熱に、綱吉の目尻からつう、と涙が一粒落ちた。
骸はその涙を唇で受け止めた。

綱吉を膝に乗せるように抱き起こすと、綱吉の背中に汗で貼り付いた草をそっと払った。

ぎゅう、と抱き締め合って、強く頬を合わせた。

「・・・会いに来てくれて、ありがと」

「いつも見てますよ。」

「・・・うん、ありがと。」

互いにその存在を確かめるように、頬を合わせて瞳を閉じる。

「悪い虫が付かないようにね。」

「うん、」

くすくす笑う綱吉に、骸も柔らかく笑った。

「クロームにも、悪い虫が付かないようにちゃんと見ていてあげてください。」

「うん、任せて。」

遠くで綱吉を呼ぶ声が聞こえた気がして、でも二人は抱き締め合ったままだった。

「・・・もう少し、このままでいてもいいですか?」

「・・・うん、俺もそう思ってたんだ。」

瞳を合わせて笑い合って、合わせた唇の温度はきっと、夏が溶けてしまうくらい。



2010.06.22
きっとみんなでキャンプとかに来てて、綱吉がショートパンツ履いてて
クローム越しにそれを見た骸が何と言うことだ!と憤慨し注意しようと思ったのに
綱吉を見てたら・・・ムラ、と来て、若さ故に青(ry)そんな夏の1ページ。