幼馴染パラレル



だから嫌だったんだ、と骸は思った。


少し先を歩く小さな背中は間違いなく綱吉で、
骸が綱吉を見間違える訳がないし、
でもその隣には見知らぬ男が綱吉と同じ制服を着て楽しそうに歩いている。


恐らくクラスメイトなのだろうが、
自分が顔も名前も何も知らない人間と歩いているのが許せなかった。



だから嫌だったんだ、別々の高校に通うのなんて。



傍にさえいられれば、余計な人間は追い払えるし、
実際今までずっとそうしてきていて、
何も知らない綱吉は骸骸って、いつも後をくっついて来たのに。

綱吉は骸と同じ学校に通うために勉強をとても頑張っていたけれど
やっぱり届かなくて、だから骸は綱吉と同じ学校に行くと言ったのに綱吉は、
それだけは止めてと言った。


言い出すと頑固なところがあるし、あまりにも必死に言うものだから結局骸が折れた。


でもこうして綱吉が他の人間と楽しそうにしているところを見てしまうと
もしかしたら自分から離れたかったのではないかと勘繰ってしまう。

頭を巡り始めた嫌な思考はそう簡単には払拭出来ずに
骸は距離を保ったまま、綱吉の背中ばかり見ていた。


何を話しているのか分からないけど、綱吉は時折笑って
その笑顔が自分以外に向けられているのが酷く腹立たしかった。


心配になって来てみてよかった。


綱吉が通うのは男子校だから、女子がいない分いいかとは思ったが
男ばかりはかえってよくないかもしれない。

女生徒がいれば自然と目がそちらに向くだろうけど、
男ばかりだったらどうだろう。

綱吉に目を付ける人間だっているかもしれない。


どうにかして綱吉を辞めさせられないだろうか。
思い至れば三年間もこのままなんて耐えられない。


それとも―


綱吉が手を振って男子生徒と別れたのを見て、骸は綱吉ではなく男子生徒の方へと足を向けた。


綱吉に近付いたらどうなるか分らせればいい。


痛い目に遭えば綱吉に近付かなくなるだろう。
綱吉が学校でどれほどの生徒にあの笑顔を向けているか分からないけど
骸が把握出来る限り同じ事をすれば噂も立つ。
そうしたら綱吉に近付く人間はいなくなる。


誰がそんな事をしているのか、綱吉にバレていいと思った。
綱吉にだっていい加減自覚して欲しい。
骸がもうずっとずっと小さな頃から綱吉だけを見ていた事を。


さり気ない仕草で、それでも確実に男子生徒に近付いて行く。


もう少し足を速めようとした所で骸の携帯が音を立てた。

着信は綱吉からで、それでも骸は出なかったし、足も止めなかった。

今は目の前の事を片付けなければならない。

しばらく間が空いて、再び着信音が鳴った。

さすがに前を歩いていた男子生徒が振り返って、
骸の穏やかではない目の色を見て、慌てるようにして駆け出した。

骸は小さく舌打ちをすると、仕方がなくなったので携帯の通話ボタンを押した。

受話器の向こうから『骸?』といつもと変わらない明るい声がしたので少し気が緩んだ。

けれど苛立ちがなくなった訳ではない。

何も知らない綱吉は、いつもと変わらない調子で勉強を教えて欲しいと言った。


「それなら一緒に帰りましょう。ちょうど綱吉を迎えに来たところですから。」


受話器の向こうで綱吉はとても驚いていたけれど、
とても嬉しそうに公園で待っていると言った。





言われた通りに歩いて行って公園に足を踏み入れると、
綱吉はブランコに座って教科書を開いていた。

「綱吉。」

顔を上げた綱吉は嬉しそうに笑って「骸!」と駆け寄って来た。

「迎えに来てくれたんだな!」


屈託なく笑う綱吉のこの笑顔が、他の人間に向けられていたと思うと虫唾が走る。


「骸?」


綱吉を見下ろしたまま何も言わない骸を不思議そうに見上げた。


「少し、無防備過ぎやしませんか?」


綱吉の制服のシャツが第二ボタンまで開けられていて、緩くネクタイが巻かれているから
華奢な鎖骨が露わになっているし、無垢に見上げる瞳はあまりにも無防備だ。

「無防備?」

そうかな?と首を捻る綱吉の襟元を合わせると、綱吉ははっと頬を染めた。

「や、やだな・・・女の子じゃないんだから・・・、」

柔らかい頬を染め上げてわたわたするから、骸は一層強く襟元を合わせた。

「・・・骸?」

見上げた先の色違いの瞳はあからさまな苛立ちを乗せていた。
機嫌の悪い骸を見るのはほとんど初めてだった。
小さな頃には、綱吉が他の子と遊んでいたりすると
強く手を引かれて連れて行かれる事も度々あったが、
骸はいつもでも優しかったから。

「あ、ほら、学校男ばっかだし・・・!」


ついさっきまで骸が懸念していた事を言われて、苛立ちが増した。


「・・・男なら、平気だとでも?」

「え?あ・・・っ骸・・・!?」


強く腕を引かれてその拍子に綱吉の手から教科書が滑り落ちて音を立てたが
骸は構わず腕を引いて、綱吉は転びそうになりながら半ば引き摺られるようにして後を付いて行った。


「骸・・・!?どうしたんだよ・・・!?」


公園の隅に建てつけてある公衆トイレの個室に
閉じ込めるようにして綱吉を押し込んで鍵を掛けた。

「骸・・・?」

不安そうに見上げてくる綱吉の顔を捕まえて、有無を言わせぬ強引さでキスをした。

「骸・・・!どうしたんだよ・・・」

頬を真っ赤にして腕から逃れようとした綱吉を体で壁に押し付けて再び唇を合わせた。

驚いた拍子に薄く開いた唇に舌先を押し入れて、その小さな舌を舐め上げた。

粘膜を絡めるように擦り合わせて、舌の裏側も舐めるように舌を這わせると
綱吉の肩からカバンがドサリと滑り落ちた。

綱吉の耳を手で覆って、口の中でぐじゅぐじゅとした舌の絡む音を響くようにすると
戸惑いに彷徨っていた小さな手が、骸のセーターをぎゅうと掴んだ。

息苦しさからか、綱吉の呼吸が乱れていくのが分かった。
気をよくした骸は細い首に顔を擦り寄せて、シャツを捲り上げるようにして綱吉の体に手を這わせた。

「む、骸・・・!何、する気・・・?」


「男でも男を抱けるという事を君に分からせようと思って。君は、無防備過ぎる。」


綱吉の柔らかい腹にすでに熱く昂っているそれを押し付けるように腰を抱き寄せた。
はっと顔を上げた綱吉の赤く熟れてた頬に、滲む目元に激しく欲情した。

首に吸い付くと、綱吉はひく、と体を痙攣させた。

骸、と滲んだ声は微かに震えていた。

シャツを捲り上げて淡い胸の先端に舌を這わせると、
綱吉は縋るように骸の首に腕を回した。

「ど、して・・・?」

か細い声の問い掛けには答えなかった。

首に回された腕は震えていた。

嫌なら泣いて叫んで拒めばいいのに。
そうされても止める気はないが。


うんと悦くすれば、快楽に呑まれた綱吉は自分のものになるかもしれない。
いや、そうしなければならない。


そうしなければ綱吉は、拒む術も分からないまま他の人間に盗られてしまうかもしれない。

それだけは絶対に嫌だ。
考えただけで気が狂いそうだった。


「ねぇ、あんな学校辞めてくださいよ。」

「なん、あ・・・っ」

ぷっくりと膨れ上がった胸の先端に柔らかく歯を立てると綱吉は小さく体を跳ね上げた。

「勉強は僕が教えますから。ね?」

「駄目だよ・・・んっ」

ちゅくちゅくと音を立てて執拗に吸い上げれば、綱吉は体を震わせる。
頬が羞恥に赤く染まり、大きな目がじわりと滲んだ。

「どうして駄目なの?」

「だって、ふっ・・・」

吸い上げ甘く歯を立てて、かくりと膝を落とした綱吉を抱き込んで更に吸い続ける。

「まさかもう気になる人間が出来たとか?」

「ちが、あ・・・っむく、」

長い指がするりとズボンの中に滑り込み、尻の割れ目を辿る。
薄っすらと汗ばんでいる肌に指を滑らせ、まだ固く閉じたそこを柔らかく撫ぜた。

綱吉はびくんと体を強張らせて、骸の背中をぎゅうと掴んだ。

「力を抜いてください。優しくするから・・・」

囁いた言葉は本心だった。
綱吉を傷付けたい訳ではないけれど、例え結果的にそうなってしまっても止める訳にはいかないし、
ずっとずっと抑圧し続けてきた欲望は止められない。

頬にキスをすると、綱吉が涙を零しているのに気付いた。

ぐずぐずと鼻をすすりながら、それでも骸にしがみ付いて
彼なりに力を抜こうとしているのが分かって、堪らなく愛おしくなった。


こんな姿、他の人間に見せる訳にはいかない。
ゆっくりと指を埋め込んでいく。


はっと息を詰めた綱吉の唇を塞いで舌を合わせた。

綱吉の中は思った以上に熱くって、ここに自分を埋めるのかと思うと体中の血が沸騰しそうだった。

柔らかく中に指を滑らせていくと、綱吉がびくんと体を竦めて骸に強くしがみ付くから
そこを柔らかく愛撫し続ける。

次第に綱吉はは、は、と短く息を上げていった。
堪らない。
骸も釣られるようにして呼吸を乱していった。


思うように指を動かせないのがもどかしくて
早急な手つきでベルトを外すと、下着も一緒に落とした。

長いシャツから零れる白く細い脚の隙間から覗く
綱吉の幼いそれも赤く色付いて勃ち上がっていて、
綱吉も興奮しているのかと思うと激情が沸く。


膝を折って柔らかい腿を掴むと、まだ生え揃わない柔らかい茂みを分けて
熱くなっているそれに口付けた。

「・・・っむくろ、恥ずかしい・・・んっ」

ちろりと滑らかなそれに舌を這わせた。

「可愛いですよ・・・」

腰を引いた綱吉だが、それを許さずに咥え込んでしまう。

じゅ、じゅ、と吸うと、頭上ではっ、と熱い息が吐き出されるのが分かって、
口の中に納めたまま舌を這わせる。

「・・・っ」

「男に組み敷かれたら、力の弱い君は抗えないでしょう?」

「そんな事な、ああ・・・っ」

幼く勃ち上がるそれを口で包み込んだまま、柔らかくなり始めた後孔に指を差し入れた。

「だめむくろ・・・っあああ・・・っ」

掠める程度に根元に柔らかく歯を立てて、中を強く愛撫すると綱吉は腰を跳ね上げた。

口の中に熱い精液が脈を打つたび放たれて、骸はすべて飲み干してから唇を離した。

「今だって僕にされるがままではないですか。」

「それは、んっ・・・!」

壁に手を付かせると、硬く勃ち上がったそれの先端を後孔に強く押し付けた。

綱吉、と一層熱っぽく囁いて、肉の薄い尻を割ると一気に中に入り込んだ。

「は・・・っああああ・・・っ」

鼻に抜ける声を上げて綱吉は大きく体を震わせた。
上半身を倒して綱吉の体を抱き竦めて強く体を張り付かせ、
ぐ、と根元まですべて埋め込むと、綱吉は声にならない吐息を漏らした。


綱吉の中は熱く波打って、酷く気持ちがよくて眩暈がする。


緩く腰を動かすと、それだけで背骨が溶けそうになった。


骸もまた熱い息を吐いて、綱吉の耳元に頬擦りした。


「ねぇ、さっきの誰ですか?随分楽しそうでしたね。」

「んん・・・っあ・・・っああ!」

抉るように強く腰を打ち付けると、壁に付けていた手が滑り落ちた。

自分の足で立てなくなった綱吉を抱えるようにして、尚も腰を打ち付ける。

「あの男ですか?許しませんよ。」

薄い胸に手を這わせて硬くなった胸の先端を指の腹で潰すと
綱吉の中がぎゅうと締まって、呼吸を乱す小さな赤い唇の端からつう、と唾液が伝った。

顔が見たくなって一旦体を引き抜いて、抱きかかえるように正面を向かせた。


見詰めた綱吉の頬はみだらに赤く染まり、恥じらいから伏せられた大きな目は濡れていた。

ひっきりなしに酸素を求める小さな唇は濡れてその息遣いさえ目に見えるようだった。


やはり綱吉のこんな姿を誰にも見せたくない。
自分だけのものにしたい。


力のない両足を腕に掛け、壁に押し付けるようにして華奢な体を持ち上げてしまうと
込み上げてくる衝動のままに、一気に中を貫いた。

がくんと背中を仰け反らせて露わになった綱吉の首に吸い付く。

腰を動かすと首にしがみ付いて顔を肩に埋めようとしたから、額を合わせて止めた。

「顔、見せてください、」

額を合わせたまま囁くと、綱吉は泣き出しそうな顔をした。

「・・・はずかしい・・・」

消え入りそうな声に堪らなくなって、強く唇を合わせた。

突き上げ続けると、合わせた唇から熱い息が漏れる。

「どうして辞めたくないのですか?」

「あっ・・・んっだ・・・って、っ」

綱吉の熱い体内を味わうように激しく腰を動かし、
骸の動きに合わせてがくがくと揺れる抱え上げられた綱吉の足から
中途半端に引っ掛かっていた制服のズボンがぱさりと落ちた。

「僕から離れたいのですか?」

「ちがあ、あ・・・っ」

「無理ですよ。」

容赦なく綱吉の中を突き上げ続け、ぐい、と一層奥を突き上げた。


「僕が離さないから。」


体内に叩き付けるように放たれた精液にきゅう、と綱吉の喉の奥が鳴った。

「ほら、男同志でも最後までちゃんと出来たでしょう?」

貪るようにキスをして、ようやく唇を離した頃にはもう再び欲望が頭をもたげている。

頬を真っ赤にして短い呼吸を繰り返す綱吉を便座に座らせると
肌蹴たシャツの足の間の綱吉のそれがきつく勃ち上がっていて
骸は思わず吐息を漏らして迷わず唇を寄せた。

「・・・や、ぁ・・・」

綱吉は涙に濡れた目を細めて恥ずかしがって、それでも骸は止めなかった。

「このままでは辛いでしょう?」

咥え込んでちゅ、ちゅ、と音を立てて吸い上げる。

綱吉は柔らかい腿で骸の顔を挟み込んで、その頭を抱え込んでしまう。

「はぁ・・・っむくろぉ・・・っ」

びくんと体を引き攣らせて、口の中に熱い精液が満ちる。

ゆったりと唇を離すと、目の前に晒された綱吉の後孔は卑猥に濡れていて
堪らず指を差し入れると、きゅうと締まった。

指を伝って出た白濁の液体は間違いなく自分のもので、
それが綱吉の体内に入っているのだと思うとぞくぞくした。

綱吉は目元まで赤く染めてぎゅっと目を閉じている。


「綱吉は僕のものです。拒否しても僕は綱吉を抱きますよ。」


強い口調で言い切ると、綱吉は濡れた目をそろそろと開けた。


「・・・俺、無理かもしれないけど・・・、」

「え?」


綱吉は目を伏せた。
ここまで来て拒否するというのだろうか。
それは絶対に許さない。


無意識に綱吉の柔らかい腿に爪を立てると、綱吉はびくんと体を強張らせた。


「・・・無理、かもしれないけど・・・せめて大学は・・・骸と一緒のところに行きたいなって・・・、」

「・・・え?」

綱吉は目を伏せたまま頬を染め上げた。

「・・・骸は、それがいいの・・・?」

水が浮かぶ瞳は戸惑いに揺れていた。

「・・・骸は、体、だけがいいの・・・?」

甘い茶色の瞳は、そっと骸を正面から見詰めた。

「俺は、」


突然外から話し声が聞こえてきて、慌てた綱吉はまた骸の顔を腿で挟み込んできゅうと骸に抱き付いた。


予想外の展開に、骸の方が完全に言葉を失くしていた。



どうしてもこの幼馴染には勝てないような気もするが、
とりあえず他の男には必要以上は近付かないように約束させなければと思った。






09.0510
キリ番リクエスト
幼馴染パラレルで綱吉が好きすぎて独占欲丸出し骸で書かせて頂きました!!
アダルティックを織り交ぜながら楽しく書かせて頂きました(ry)
リクエストをくださった陸さまのみ宜しければお持ち帰りください><
萌え萌えリクエストありがとうございました(ry)///
はぁはぁしてしまいました(ry)///