橙の蝋燭の光に照らされて、足元を刺す冷気でさえ柔らかい。
静寂の夜に響くのは雪の積もる音だけ。
そして、心を揺らす鐘が鳴る。
甘いステンドグラスを透けるのは、どこから漏れる光だろう?
心に一番近い指。
左手の薬指に溶けるキスを、永遠を示す丸い環を。
こんなもので互いを縛れるとは思わないけれど。
誓いのキスを。
彼が言う。
誰に誓うの?神様に誓うの?
悪戯に返せば、骸は鼻で笑う。
神などいませんよ。
骸は神様嫌いそうだよね。
いいえ。いないものを嫌うほど僕は子供ではありませんよ。
誰かその神様とやらに会った事があるのですか?
ああ、骸っぽいよね。
小さく笑う。
雰囲気ないよね、俺たち。
元から僕らはそうでしょう。
うん、そうだったね。
近くなる吐息に、胸が高鳴る。
それなら、誰に誓う?
あなたにだけ、僕の永遠を誓います。
真面目くさって言うものだから
体が溶けてしまいそうになる。
それなら俺も、おまえにだけ、俺の永遠を誓うよ。
それなら、は余計でしょう。
雰囲気なんてまるでないけれど
嬉しそうに笑う顔だとか
こんなもので互いを縛れるとは思わないけれど、
ああ、何だか少し、照れくさいね。
触れた唇から、溢れる永遠を感じた。
予感ではなく、これはきっと。
『確かな運命』
09.01.19
元拍手です
らぶらぶです