「君に言ってます。」
はっきりと言い切ると、綱吉の瞳が揺れた。
骸は更に言葉を続ける。
「セックスをした事はありますか?」
目が零れ落ちそうなほど見開いて、耳の先まで赤くなって
わたわたする綱吉を見ると、やっぱりうずうずしてくる。
綱吉は恥ずかしそうに俯いて「・・・ありません」と呟いた。
骸は思わず口元を緩めた。
「こうした行為をした事はまるでないという事ですか?」
綱吉はますます俯いて、とても恥ずかしそうにとても小さな声で呟いた。
「・・・まったく、ないです・・・」
何だろう、思った以上に嬉しい。
目の前に晒されるこの肌に誰も触れた事がないのかと思うと
ニヤニヤしてしまう。
骸はニヤニヤしてしまう口元を隠すように片手で覆って、可能な限り平静な声を出した。
「ほら、早く。」
促すと、綱吉の白い喉が小さく震えた。
堪らない。
拒んでも聞き届ける気はなかったが、綱吉は控え目に手を伸ばすと
下着をそっとずらした。
そしてその喉元がまた揺れる。
骸は自分で笑ってしまいそうになった。
だって骸のそれは興奮を示して勃ち上がっていたから。
綱吉は骸が促す前に、おずおずと顔を寄せて舌を伸ばした。
じわりと舌先の熱が伝わってくる。
技術も何もないからただそっと舐めているだけで
正直、くすぐったいだけだった。
けれど、その気になれば吐精出来そうだった。
肉体ではなく、精神的に十分な快楽を得ているのは自分でも分かった。
頬を赤く熟れさせて瞳を閉じ、懸命に舌を這わせる姿はくるものがある。
やっぱりうずうずしてきて、「下手ですねぇ」としみじみと呟いてみた。
綱吉は頬を赤くしたまま慌てて顔を外した。
「す、すみません・・・!」
骸は綱吉の後頭部に手を当てて留めると、親指の腹で赤い頬を撫でた。
ふにふにしていて気持ちいい。
「経験がないなら下手でも仕方ないですけどね。気持ちはいいですよ。」
ひよひよしていた髪に指を絡めると、綱吉は目を伏せたまま何度も瞬きをして
思いがけずそっと指に顔を寄せた。
「?触られるのが好きですか?」
唾液で濡れた小さな唇が、小さく呟く。
「・・・優しいな、って・・・思って・・・」
この状況の何が優しいのだと思う前に、綱吉は自ら骸の足の間に顔を寄せる。
赤い頬。じわりと滲む目元を伏せた。
骸は思わず息を詰めた。
もうさっきからずっとずっと思ってたけど、そういう態度が勘違いしそうになるんだ。
いや待て、何を勘違いすると言うのだ。
綱吉といると自分がよく分からなくなる。
骸は誤魔化すように綱吉の後頭部に指を差し入れた。
「そのまま、咥えてください。」
綱吉は言われるままに恥ずかしそうに小さな口を開いて、先端を口に含む。
「歯を立てないようにして吸って、」
ちゅ、ちゅ、と控え目に吸う力は弱くてでも、今の骸には十分だった。
ゆっくりと柔らかく綱吉の髪を引き、弱く吸う口元が先端から離れた時に
真っ赤な頬に白濁の液体が散って、濡れた口元に流れていく。
ぎゅっと閉じた睫毛がふるふると震えて、その目元まで白く濡れていく。
堪らない。
「ほら、ちゃんと口で受けてください。」
綱吉は目を閉じたまま感覚を頼りに吐精する先端を口に含んだ。
精液が垂れて流れる喉元を、猫にするように指先でくすぐるように撫でた。
「飲んで。」
何の抵抗もせずに白い喉がこくこくと動く。
骸はぱちりと瞬きをした。
本当に飲んだ。
いや、飲めと言ったから飲んだのだろうけど、本当に飲んだ。
また少し気が変わる。
「うわ・・・!」
綱吉の脇の下に手を差し入れて立たせると、ソファの肘置きをぽんぽんと叩いた。
「ここに膝立ちになってください。」
綱吉は白濁の液体が滴る顔をそのままに盛大に慌てた。
「そそそんな事したら丸見えに・・・っ!!」
「ずっと見えてましたよ。」
おもむろに下肢に視線を向けると、綱吉はうわあ!と体を丸めた。
「変なもの見せてすみません・・・!!」
脱げと言ったのはこっちなのに、と骸はまた笑いを堪えるために口元を手で覆った。
「うわ!」
丸まる綱吉の脇の下に手を差し入れて、強引に持ち上げると
骸を跨ぐように足を開かせてソファに膝立ちにさせた。
「おや。」
視線を落とすと淡い色の茂みの下で、綱吉のそれが緩やかではあるが形を変えていた。
「僕のを舐めて興奮しましたか?」
「いえあのこれは・・・!!」
「これは?」
「う、」
じっと綱吉を見上げると、綱吉は言葉に詰まってうぐうぐしている。
おかしくて仕方なかったから、また口元を手で覆って堪える。
まだうぐうぐしている綱吉のそれを、体を屈めて何の前触れもなく口に含んだ。
頭上でうわあ!!と悲鳴染みた声が上がって思わず口元を緩める。
「あああの・・・!!」
逃げ腰になる細い腰を強引に抱き寄せてじゅ、じゅ、と吸い上げると
口の中で確かな硬さを持っていく。
骸はまた口元を緩めた。
「や、止めてくださ・・・!出、ちゃう・・・!!」
綱吉の言葉を無視して細い腰を前後に動かすと、空気が抜けるような声がした。
じゅう、と少し強く吸いながら綱吉の腰を動かすとうわあ!と声がして
骸の頭を抱え込んだかと思うと、生温かい精液が脈を打つように舌へ広がっていく。
相当不味い。
どろりとしていて生温かくて未だかつて口にした事がないような味だ。
思わず眉を顰めるが、骸に吐き出すという選択肢はなかった。
むしろ飲み込んでみたいという衝動に駆られて、躊躇わず飲み下す。
味で言うなら不味いのに、どういう訳か気分はいい。
先端の割れ目に舌を差し入れてちゅちゅ、と吸うとうう、とぐずるような声が聞こえてきて
飲んだぁ・・・と泣きそうな声がした。
骸はくす、と笑うとそのまま肩に担ぐように綱吉を持ち上げて
寝室まで運ぶと、大きなベットに放り投げた。
「ふぐ・・・っ」
華奢な体がベットの上でバウンドした。
「四つん這いになりなさい。」
「・・・!?!?」
腕組みをして高圧的に綱吉を見下ろす。
「なりなさい。」
「・・・っ!!!」
綱吉は忙しなく瞳を彷徨わせた後、骸に頭を向けて四つん這いになった。
「違います。」
綱吉はびくんと体を引き攣らせた。
「あああの・・・!そんな社長さんに尻向ける真似なんて出来ません・・・!!」
「僕は六道骸です。」
「え・・・!?」
「社長さんではありません。」
不満そうに言ってベットに乗り上げると、綱吉の足を掴み上げて引き摺るように後ろを向かせて
尻の間に舌を這わせた。
「うわあ・・・っ!!止めてください・・・!!汚いから・・・っ!!」
ベットヘッドの方に慌てて逃げ出した綱吉の足首をがしっと掴んでずるずると引き摺って引き寄せると
逃げ出せないように腿に腕を回した。
「き、汚いから・・・!!」
「何を今更。しゃぶり合った仲なのに。」
「・・・っ!!」
ばあ、と頬を一気に染め上げ、逃げるように上掛けに顔を埋めた綱吉に
更に淡々と言葉を続ける。
「それに濡らさなければ入らないでしょう?」
「ぬ、濡ら、入らな・・・!?!?」
「今しているのはセックスですよ。ここで終わる訳がない。」
ばっと顔を上げた綱吉は骸と目が合うとはっと頬を染めて勢い良く顔を上掛けに埋めた。